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見極めの難しい BN 購入について

 若い頃、バンドネオンを手にする前、それらしき楽器を田舎で見たと、風のような噂を耳にし、散在する集落を訪ね回った事があった。その頃、バンドネオン以外、何の欲得もなく、このことで明け暮れていた時があった。今は、ネットで情報を得ることも出来、志望者も増えているようだ。購入について交わされていることもあるが、見極めの難しい楽器でもある。

 昨年、バンドネオンの購入について尋ねられたことがあった。古い楽器でもそれなりに高価で、安易に買い替えの出来るものでもなく、慎重を期すのは当然の事と思う。取り敢えず、「弾きこなせる方にお願い出来れば、大体の目安はつくと思う。」と記していたが、音について、もう少し掘り下げてみると、その時点で整っていたとしても見込める楽器とは限らず、逆に酷い音のする楽器でも手を加えれば、名器のように蘇ることもある。リードについては、別の観点から考察を要することもあり、良否の判断は、なかなか難しいようだ。ネットで内部まで知ることは無理だろう。

 初心者のBN購入について、ネットオークション等、簡単な説明や画像だけでは掴みきれず、納得の手渡し以外、避けた方が無難だろう。アドバイスしてくれる人が居ればこれに越したことはないが、前もって蛇腹やボタンの動き作用、BNの形式などある程度は知っておくべきだと思う。楽器の内部については、先方に蝶ネジを外してもらい(同意なしには触らない)、見せてもらうと、おおまかな目安をつけることが出来るかも知れない。精度など見抜くことは無理と思うが、蛇腹からなどの空気漏れ、リードの錆び、台板の傷み、リードの先端などすり減った隙間、お粗末な取替えリードなど。注目すべき点にリードボードや、これを取り付ける木部ホルダなど、フエルトペンなどで合わせマークや、リードボードに多く修理箇所のマーキングはどうか、このマークは位置確認のために付けられたと思うが、専門でどのような箇所であっても位置の認識は勿論のことマークなど付けて汚すことは無いと思う。認識の違いが処理の良否にも現れていることもある。リードの裏に付いている革の弁 (逆止弁) が硬化して弓なりに反っていることもあるが、交換可能。見た目だけでは、一概に言えないが、内部の汚れも少なく、整然としている姿が、一つの目安になるかも知れない。