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ゴッちゃんの手

 若い頃、ミュージシャン仲間は親しみを込めて、それぞれ名前の一字を取って ''ちゃん''付けで 呼んでいた。ゴッちゃんの始まりも後藤の「後」から取ったのだろう。子供の頃から指はよく反るほうで、小指を一方の指で押さえると手首の近くまで曲がり、折れそうに見えるのか気持ち悪いと言われることもあった。大げさに言えば、バナナの房のように反らすことも出来、また、指先の第一関節だけをそれぞれ曲げることも出来る。他のことでは劣ることばかりだが、その時、心の中でにっこり自慢気に ''これはどう~'' と差し出して見せる。手を大きく開いて小指の先から親指の先まで幅を測ると245mm位。20~30年前、日本人では大男の部類だと本で見たことがあった。近年はどうだか知らないが・・・ 大きさと言うより広がりで稼いだのだろう。今は、この指先がペンチになったり、ネジ回しになったりして、授かったこの手は使い勝手の良いものとして重宝している。